4.6. プロセス

FreeBSD はマルチタスクのオペレーティングシステムです。 つまり、1つ以上のプログラムがあたかも同時に動いているかのように見える、 ということです。動作中のプログラムはそれぞれ プロセス と呼ばれます。 コマンドを実行すると、最低でも1つの新しいプロセスがスタートします。 システムを正常に機能させるために常に動作しているシステムプロセスもたくさんあります。

各プロセスはプロセス ID、もしくは PID と呼ばれる数字でただ一つに識別されます。 また、ファイルのように各プロセスには所有者とグループがあります。 所有者とグループの情報は、 これまでに見たファイル許可属性を用い、 そのプロセスが開けるファイルやデバイスを決定するために使われます。 多くのプロセスには親プロセスもあります。 親プロセスとは、そのプロセスをスタートさせたプロセスのことです。 例えば、シェルにコマンドを打ち込んでいるときはシェルがプロセスで、 動かすコマンドもまたどれもプロセスです。 このようにして起動するプロセスはそれぞれシェルが親プロセスになります。 これの例外は init という特別なプロセスです。 init は常に最初のプロセスなので、 PID は必ず 1 になります。 init は FreeBSD がスタートするときカーネルによって自動的に起動されます。

ps(1)top(1) という2つのコマンドが システム上のプロセスを確認するために特に便利です。 ps(1) コマンドは現在動作中のプロセスのリストを見るために使い、 PID やプロセスが使っているメモリの量、 どういうコマンドラインで起動されたのか、 などを表示させることができます。 top(1) コマンドは動作中の全てのプロセスを表示し、 数秒ごとに表示を更新するので、 計算機がなにをしているのかインタラクティブに知ることができます。

デフォルトでは、ps(1) は動作中かつ所有者が自分のコマンドのみを表示します。 例えば:

% ps
  PID  TT  STAT      TIME COMMAND
  298  p0  Ss     0:01.10 tcsh
 7078  p0  S      2:40.88 xemacs mdoc.xsl (xemacs-21.1.14)
37393  p0  I      0:03.11 xemacs freebsd.dsl (xemacs-21.1.14)
48630  p0  S      2:50.89 /usr/local/lib/netscape-linux/navigator-linux-4.77.bi
48730  p0  IW     0:00.00 (dns helper) (navigator-linux-)
72210  p0  R+     0:00.00 ps
  390  p1  Is     0:01.14 tcsh
 7059  p2  Is+    1:36.18 /usr/local/bin/mutt -y
 6688  p3  IWs    0:00.00 tcsh
10735  p4  IWs    0:00.00 tcsh
20256  p5  IWs    0:00.00 tcsh
  262  v0  IWs    0:00.00 -tcsh (tcsh)
  270  v0  IW+    0:00.00 /bin/sh /usr/X11R6/bin/startx -- -bpp 16
  280  v0  IW+    0:00.00 xinit /home/nik/.xinitrc -- -bpp 16
  284  v0  IW     0:00.00 /bin/sh /home/nik/.xinitrc
  285  v0  S      0:38.45 /usr/X11R6/bin/sawfish

この例で分かるとおり、 ps(1) の出力はいくつかの行に整形されています。 PID は先ほど見たプロセス ID です。 PID は 1 から順に 99999 まで割り当てられ、 足りなくなると最初に戻って使い回されます。 TT はプログラムが動いている tty を示します。 差し当たって無視してもかまわないでしょう。 STAT はプログラムの状態を示しますが、 これもまた無視してよいでしょう。 TIME はプログラムがその CPU 上で動いている時間の長さです—これはプログラムをスタートさせたとき からの経過時間であるとはかぎりません。 CPU 上で時間を使う必要があるまでかなりの時間を費すようなプログラムもあるからです。 最後に、COMMAND はそのプログラムを起動するのに使われたコマンドラインとなります。

ps(1) は表示する情報を変えるためのオプションをたくさんサポートしています。 いちばん便利なのは auxww でしょう。 a は自分のプロセスだけではなく、 動作中のプロセス全部についての情報を表示します。 u はプロセスの所有者の名前をメモリ使用量と同様に表示します。 x はデーモンプロセスについての情報を表示し、 ww で、スクリーンに入りきらないほど長くなったコマンドラインでも省略せず、 ps(1) に全コマンドラインを表示させます。

top(1) の出力も同様です。 例は以下の通りです。

% top
last pid: 72257;  load averages:  0.13,  0.09,  0.03    up 0+13:38:33  22:39:10
47 processes:  1 running, 46 sleeping
CPU states: 12.6% user,  0.0% nice,  7.8% system,  0.0% interrupt, 79.7% idle
Mem: 36M Active, 5256K Inact, 13M Wired, 6312K Cache, 15M Buf, 408K Free
Swap: 256M Total, 38M Used, 217M Free, 15% Inuse

  PID USERNAME PRI NICE  SIZE    RES STATE    TIME   WCPU    CPU COMMAND
72257 nik       28   0  1960K  1044K RUN      0:00 14.86%  1.42% top
 7078 nik        2   0 15280K 10960K select   2:54  0.88%  0.88% xemacs-21.1.14
  281 nik        2   0 18636K  7112K select   5:36  0.73%  0.73% XF86_SVGA
  296 nik        2   0  3240K  1644K select   0:12  0.05%  0.05% xterm
48630 nik        2   0 29816K  9148K select   3:18  0.00%  0.00% navigator-linu
  175 root       2   0   924K   252K select   1:41  0.00%  0.00% syslogd
 7059 nik        2   0  7260K  4644K poll     1:38  0.00%  0.00% mutt
...

出力は2つのセクションに分かれています。 ヘッダ (最初の 5 行です) は動作している最新のプロセスの PID、 システムの平均負荷 (システムがどれくらい忙しいかの指標)、 システムの稼働時間 (最後の再起動からの時間) と現在の時刻を示します。 ヘッダの中の他の数字は動作中のプロセスの数 (この場合 47 ですね)、 使われているメモリとスワップ領域の量、 そしてシステムが異なる CPU 状態に消費した時間と関係します。

その下には ps(1) の出力と同じような情報を持った行が続きます。 前と同様 PID にユーザ名、消費 CPU 時間と実行中のコマンドを知ることができます。 top(1) を使うとデフォルトでプロセスが使っているメモリ容量も分かります。 メモリ使用量の欄は2項目に分かれており、 一方は合計使用量、 そしてもう一方は実使用量です—合計使用量はアプリケーションが必要としているメモリ量で、 実使用量はその時点で実際に使われているメモリ量です。 この例では、Netscape がだいたい 30�MB の RAM を必要としていますが、 いまのところ 9�MB しか使っていないことが分かります。

top(1) は自動的に2秒ごとに画面を更新します。 s オプションを使えば更新間隔を変更することができます。

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