2.3. インストール前に行う作業

2.3.1. データのバックアップ

FreeBSD をインストールするコンピュータに残されている価値のあるデータをすべてバックアップしてください。 そして、インストール作業を進める前にバックアップが正しく取れていることを確認してください。 FreeBSD のインストーラは、ハードディスクに変更を加える前に確認を求めますが、 一度実際に書き込む作業が始まってしまうと、 もう元に戻すことはできません。

2.3.2. FreeBSD をインストールする場所の決定

インストールするオペレーティングシステムが FreeBSD のみで、 ハードディスクすべてを使ってインストールする場合には、 この節の後半を飛ばすことができます。 しかし、ハードディスクに FreeBSD と他のオペレーティングシステムを共存させる必要がある場合には、 ディスクレイアウトに関する基本的な部分を理解しておく必要があります。

2.3.2.1. FreeBSD/i386 および FreeBSD/amd64 アーキテクチャでのディスクレイアウト

ハードディスクを複数の塊に分割することができます。 これらの塊は パーティション と呼ばれます。

ディスクをパーティションに分割する方法は 2 通りあります。 伝統的な Master Boot Record (MBR) では、 ディスク 1 台あたり 4 つまでのパーティションテーブルを持つことができます (歴史的な理由により、FreeBSD は、これらのパーティションのことを スライス と呼びます)。 大きなディスクにとって、作成できるパーティションの数が 4 つという制限は限定的なので、 プライマリパーティションの 1 つに拡張パーティションを作成できます。 論理パーティション と呼ばれる特別のパーティションは、 この拡張パーティションの内部に作成できます。 これは、多少扱いにくいものです。

GUID Partition Table (GPT) は、 ディスクをパーティションに分ける簡単で新しい方法です。 伝統的な MBR パーティションテーブルと比べると、 GPT ははるかに万能です。一般的な GPT の実装では、 1 つのディスクに 128 個までのパーティションの作成が可能です。 扱いにくい論理パーティションのような回避策は必要ありません。

警告Windows®�XP のような古いオペレーティングシステムは、 GPT パーティションと互換性がありません。 FreeBSD をこのようなオペレーティングシステムとディスク上で共存させる場合には、 MBR パーティションテーブルを使う必要があります。

FreeBSD の標準のブートローダは、プライマリまたは GPT パーティションに対応しています (FreeBSD の起動プロセスのより詳しい情報については、 第13章 をご覧ください)。 ディスク上のすべてのプライマリ、もしくは GPT パーティションが使われているのであれば、 そのひとつを FreeBSD のために開放してください。

FreeBSD の最小のインストールでは、1�GB 程度のディスク容量が必要です。 しかし、これは 非常に 小さなインストールであり、 自分のファイルを作成するスペースはほとんど残らないでしょう。 現実的には、グラフィカルな環境が必要なければ 3�GB、 グラフィカルユーザインタフェースを使用するのであれば 5�GB 以上は必要でしょう。 サードパーティ製ソフトウェアをインストールするならば、 さらに多くのスペースが必要になります。

さまざまな パーティションサイズを変更するフリーや商用のツール を利用できます。 GParted Live は、GParted パーティションエディタを含む完全なライブ CD です。 多くの Linux Live CD ディストリビューションでも GParted を利用できます。

警告ディスクパーティションのアプリケーションは、 ディスク上のデータを壊す可能性があります。 ディスクのパーティションを変更する前に、 必ず全体のバックアップをとり、完全性を検証してください。

Microsoft®�Vista のパーティションサイズの変更は、難しい可能性があります。 このような作業を行う際は、 Vista のインストール CDROM を手元に置いておくことをお勧めします。

例 2-1. 既存のパーティションを使用

既に Windows がインストールされている 40�GB のハードディスクが 1 台接続されており、そのハードディスクは、 20�GB の 2 つのパーティションに分割されていると仮定します。 Windows では、それぞれ C: および D: と呼びます。 C: パーティションには 10�GB のデータ、 D: パーティションには 5�GB のデータがあるとします。

D: にあるデータをすべて C: にコピーすれば、 2 つ目のパーティションを解放し、FreeBSD のために使うことができるようになります。

例 2-2. 既存のパーティションを縮小する

Windows がインストールされている 40�GB のハードディスクが 1 台接続された PC を使用していると仮定します。 ディスクのすべてを 1 つの大きなパーティションとして使用しています。 Windows では、この 40�GB のパーティションを 1 つの C: ドライブとして表示します。 15�GB のデータがあるとします。 Windows が 20�GB パーティション、 残りの 20�GB パーティションを FreeBSD で使いたいとします。

インストールを行うには、2 つの方法があります。

  1. Windows のデータをバックアップし、インストール時に 20�GB のパーティションを作成して再インストールする。

  2. 先に述べた GParted をはじめとするパーティションを縮小するツールを使って、 Windows のパーティションを縮小し、フリーの空間上に、 FreeBSD のためのパーティションを作成する。

異なるオペレーティングシステムを含むディスクパーティションでは、 どのオペレーティングシステムも同時に実行できるのは 1 つです。 複数のオペレーティングシステムを同時に実行する方法については、 Virtualization の章で説明します。

2.3.3. ネットワークの詳細をまとめる

FreeBSD のインストール方法によっては、ネットワークに接続し、 ファイルのダウンロードが必要です。 イーサネットに接続 (または、ケーブル / DSL モデム経由でイーサネットインタフェースを利用して接続) するためには、 インストール中にこれらの情報を入力する必要があります。

DHCP は、 自動的にネットワークの設定情報を得るのによく使われます。 DHCP を利用できない場合には、 システム管理者かプロバイダにネットワーク情報を問い合わせる必要があります。

ネットワーク情報

  1. IP アドレス

  2. サブネットマスク

  3. デフォルトルータの IP アドレス

  4. ローカルネットワークのドメイン名

  5. DNS サーバの IP アドレス

2.3.4. FreeBSD Errata の確認

FreeBSD�プロジェクトでは FreeBSD の各リリースができる限り安定するよう努力していますが、 時々バグが発生してしまうことがあります。極まれに、 発生したバグがインストールプロセスに影響を与えることがあります。 これらの問題は発見され解決されるとともに、 FreeBSD のウェブサイトの FreeBSD Errata に掲示されます。 インストールに関して注意すべき既知の問題が無いことを確かめるために、 インストールする前に Errata を確認してください。

すべてのリリースに関する情報や Errata は、 FreeBSD のウェブサイトリリース情報 の項で確認することができます。

2.3.5. インストールメディアの準備

FreeBSD のインストールは、 インストール用の CD, DVD または USB メモリスティックとともに、コンピュータを起動するところから始まります。 インストーラは、オペレーティングシステムで実行できるようなプログラムではありません。

FreeBSD のインストールファイルをすべて含んでいる通常のインストールメディアに加え、 bootonly を利用できます。 bootonly インストールメディアは、インストールファイルを含んでいません。 そのかわり、インストールの途中ですべてのファイルをネットワークからダウンロードします。 そのため、bootonly インストール CD は小さく、 また、インストール中に必要なファイルだけをダウンロードするので、 使用するバンド幅を減らすことが出来ます。

FreeBSD のインストールメディアは FreeBSD ウェブサイト から入手できます。

ティップ: FreeBSD の入っている CDROM や DVD, USB メモリスティックを持っているのであれば、 この章を飛ばしてもかまいません。

FreeBSD の CD および DVD イメージは、 起動可能な ISO ファイルです。 インストールには、一枚の CD または DVD があれば十分です。 現在使用しているオペレーティングシステムにインストールされている、 ISO イメージを CD に書き込むアプリケーションを用いて、 起動可能な CD または DVD を作成してください。

起動可能なメモリスティックを作成する場合には、 以下の手順にしたがってください。

  1. メモリスティックのイメージの取得

    FreeBSD�9.0-RELEASE 以降のメモリスティックのイメージは、 ftp://ftp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD/releases/arch/arch/ISO-IMAGES/version/FreeBSD-version-RELEASE-arch-memstick.imgISO-IMAGES/ ディレクトリからダウンロードできます。 ここで、archversion の部分を、 それぞれインストールするアーキテクチャとバージョン番号に置き換えてください。 たとえば、FreeBSD/i386�9.0-RELEASE のメモリスティックのイメージは、ftp://ftp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD/releases/i386/i386/ISO-IMAGES/9.0/FreeBSD-9.0-RELEASE-i386-memstick.img から入手できます。

    ティップ: FreeBSD�8.X 以前では、 これとは異なるディレクトリパスが使われています。 FreeBSD�8.X 以前のバージョンのダウンロードとインストールの詳細については、 第3章 で説明しています。

    メモリスティックイメージには、.img という拡張子がついています。ISO-IMAGES/ ディレクトリには複数の異なるイメージがあり、インストールする FreeBSD のバージョンや、インストールするハードウェアによって、 必要なファイルが変わります。

    重要項目: 以下の作業によってデータが 消去 されるので、 先に進む前に、使用する USB スティックにあるデータをバックアップしてください。

  2. イメージファイルをメモリスティックに書き込む

    FreeBSD を使ってイメージを書き込む

    警告以下の例では、イメージを書き込むデバイスを /dev/da0 としています。 正しいデバイスを出力先に設定していることを十分確認してくだい。 さもなければ、現在あるデータを破壊してしまうことになります。

    1. dd(1) を使ってイメージを書き込む

      .img ファイルは、 通常のファイルではありません。 メモリスティックの完全な内容の イメージ です。 通常のファイルのようなコピーは できませんdd(1) を使用して直接ターゲットディスクに書き込む必要があります。

      # dd if=FreeBSD-9.0-RELEASE-i386-memstick.img of=/dev/da0 bs=64k
      

    Windows® を使ってイメージを書き込む

    警告適切なドライブレターを出力先に設定していることを十分確認してくだい。 さもなければ、現在あるデータを破壊してしまうでしょう。

    1. Image Writer for Windows を入手する

      Image Writer for Windows は、 イメージファイルをメモリスティックに正しく書き込むことのできるフリーのアプリケーションです。 https://launchpad.net/win32-image-writer/ からダウンロードして、フォルダに展開してください。

    2. イメージライタを使ってイメージを書き込む

      Win32DiskImager アイコンをダブルクリックして、プログラムを起動します。 Device の下に表示されるデバイスレターが、 メモリスティックのドライブであることを確認してください。 フォルダのアイコンをクリックして、 メモリスティックに書き込むイメージファイルを選択します。 [�Save�] をクリックして、 イメージファイルの名前をアクセプトしてください。 すべてが正しく行われたかどうか、また、 他のウィンドウでメモリスティックのフォルダが開かれていないことを確認してください。 準備ができたら、[�Write�] を押して、 メモリスティックにイメージファイルを書き込みます。

注意: フロッピーディスクからのインストールには、 もはや対応していません。

これで FreeBSD をインストールする用意ができました。

本文書、および他の文書は ftp://ftp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD/doc/ からダウンロードできます。

FreeBSD に関する質問がある場合には、ドキュメント を読んだ上で <[email protected]> まで (英語で) 連絡してください。
本文書に関する質問については、<[email protected]> まで電子メールを (英語で) 送ってください。