一般的なテープメディアには 4mm, 8mm, QIC, ミニカートリッジ、 DLT があります。
4mm テープはワークステーションのバックアップメディアとして QIC に取って代わりつつあります。この傾向は QIC ドライブの主要なメーカであった Archive を Conner が買収し QIC ドライブの製造を中止したことで加速しました。 4mm ドライブは小型で静かですが 8mm ドライブが持っている信頼性ほど、その評判は良くありません。 また、4mm カートリッジは 8mm カートリッジよりも安価で小型 (3 x 2 x 0.5 インチ、76 x 51 x 12 mm) になっています。 ただし、8mm と同様に、4mm のヘッドはヘリカルスキャン方式 (訳注: VTR と同様の回転ヘッドを使う方式) を採用しているため、比較的寿命が短いです。
ドライブのデータスループットは、150�kB/s から 最大で 500�kB/s 程度です。 データ容量は 1.3�GB から 2.0�GB です。 ドライブのほとんどで利用可能なハードウェア圧縮を使用すると、 容量が約 2�倍になります。 マルチドライブテープライブラリユニットは 1�つの筐体に 6�つのドライブを収容可能で、自動的にテープの交換ができます。 ライブラリの容量は 240�GB に達します。
現在の DDS-3 標準は 12�GB (圧縮時 24�GB) までのテープ容量に対応しています。
8mm ドライブと同様に 4mm ドライブはヘリカルスキャンを使用します。 ヘリカルスキャン方式の利点および欠点はすべて 4mm および 8mm ドライブの両方に当てはまります。
テープは 2,000 回のパスあるいは 100 回フルバックアップした後には交換するべきです。
8mm テープは SCSI テープドライブとして最もよく使われているもので、 データ交換用として最良の選択です。ほとんどのサイトには Exabyte 2�GB 8mm テープドライブがあるでしょう。8mm ドライブは信頼性が高く、使いやすく、静かです。 カートリッジは安価で小型です (4.8 x 3.3 x 0.6 インチ、122 x 84 x 15 mm)。8mm テープの欠点は、テープとヘッドの相対的な速度が高速なために、 比較的ヘッドとテープの寿命が短いことです。
データスループットは 250�kB/s から 500�kB/s 程度です。データ容量は 300�MB から 7�GB です。 ほとんどのドライブで利用可能なハードウェア圧縮を利用すると、 容量が約 2�倍になります。 これらのドライブは、単一のユニットから 6�つのドライブと 120 本のテープを一つの筐体に収容したマルチドライブテープライブラリまで利用可能です。 テープはユニットによって自動的に取り換えられます。 ライブラリの容量は 840�GB 以上に達します。
Exabyte の “Mammoth” モデルはテープ 1�本あたり 12�GB (圧縮時 24�GB) に対応し、 従来のテープドライブと比べ費用は約 2�倍になります。
データはヘリカルスキャンを用いてテープに記録されます。 ヘッダはメディアに対してある傾き (約 6 度) に配置されます。 テープはヘッドのある円筒の周の 270 度にわたって接触します。 テープが円筒面を走行する間、円筒は回転しています。 この結果、高密度のデータのつまったトラックは、 狭い間隔でテープの上端と下端の間を斜めに横切ります。
QIC-150 テープとドライブは、 おそらく最も一般的に使われているドライブとメディアでしょう。 QIC テープドライブは “現実的な” バックアップドライブとしては最も高価でないものです。 欠点はメディアのコストです。QIC テープは 8mm や 4mm テープと比較して GB あたりのデータの保存で 5 倍ほど高価です。 しかし、あなたの必要とする量が半ダース程のテープで十分であれば、 QIC は正しい選択かもしれません。QIC は 最も一般的なテープドライブです。 すべてのサイトに QIC ドライブのどれかの容量のものがあります。問題は、 QIC は同じようなテープ (まったく同じ場合もある) に多様な記録密度があることです。QIC ドライブは静かではありません。 これらのドライブはデータ記録を開始する前に音をたててシークしますし、 リード、ライト、シークの時にはっきりと聞こえる音を出します。 QIC テープの大きさは (6 x 4 x 0.7 インチ、152 x 102 x 17 mm) です。 1/4 インチ幅のテープも使用している ミニカートリッジ は別に議論します。テープライブラリやチェンジャはありません。
データスループットは ~1500�kB/s から ~5000�kB/s 程度です。データ容量は 400�MB から 150�GB です。 ハードウェア圧縮が最近のドライブの多くで利用できます。 QIC ドライブは DAT ドライブに置き換えられつつあり、 あまり頻繁には使用されなくなっています。
データは複数のトラックに分かれてテープに記録されます。 トラックはテープメディアの長さ方向の一端からもう一方の端までです (訳注: 1 トラックの read/write が終わるとテープの走行方向を反転させ 次のトラックの read/write を行います)。トラックの数と、 それに対応するトラックの幅はテープの容量によって変わります。 すべてではありませんが、 最近のドライブはほとんど、少なくとも読み出しについては (場合によっては書き込みも) 下位互換性があります。 QIC はデータの安全性についてはよいといわれています (ヘリカルスキャンドライブに比べて機構は単純でより丈夫です)。
テープは 5000 回のバックアップで寿命となるでしょう。
DLT はここに示したドライブのタイプの中で最高速のデータ転送レートを発揮します。 1/2 インチ (12.5mm) テープが単リールのカートリッジ (4 x 4 x 1 インチ、100 x 100 x 25 mm) に入っています。 カートリッジのひとつの側面全体がスイングゲートになっています。 ドライブの機構がこのゲートを開け、テープリーダを引き出します。 テープリーダには楕円形の穴があり、 ドライブがテープを “引っ掛ける” のに使います。 巻き取りのためのリールはドライブの中にあります。 ここに挙げた他のカートリッジはすべて (9 トラックテープは唯一の例外です) 送り出しリールと巻き取りリールの両方がカートリッジの中にあります。
データスループットは約 1.5�MB/s で、4mm, 8mm, QIC テープドライブの 3�倍です。データ容量は単一のドライブで 10�GB から 20�GB の範囲です。マルチテープチェンジャ、 マルチテープドライブ、5 から 900�巻のテープを 1 から 20 ドライブで扱うマルチドライブテープライブラリがあり、 50�GB から 9�TB の容量が得られます。
圧縮によって、DLT Type IV フォーマットは 70�GB までの容量に対応しています。
データは (QICテープのように) テープの走行方向と平行に複数あるトラックへ記録されます。 2�つのトラックに同時書き込みを行います。 read/write ヘッドの寿命は比較的長いと言えます。 テープの走行が止まればヘッドとテープの間の相対運動は無いからです。
AIT は、Sony が発表した新しいフォーマットで、 テープ 1�本あたり 50�GB (圧縮時) まで格納できます。 テープにはメモリチップが搭載されており、 テープの内容の索引情報を保持しています。 他のテープではテープ上のファイルの位置を把握するのに数分必要とするのですが、 このテープドライブでは索引情報を読んで直ちに決定することができます。 SAMS:Alexandria のようなソフトウェアは、40 を超える ATI テープライブラリを操作できるのはもちろんのこと、 テープのメモリチップと直接通信して、スクリーンに内容を表示し、 どのファイルがどのテープにバックアップされたかを調べて、 正しいテープを見つけ、読み込み、 テープからデータを復元することができます。
このようなライブラリは大体 $20,000 くらいするので、 愛好家が購入できる価格帯からは外れてしまいます。
全く新品の空テープを読もうとしたり書き込もうとすると、 処理は失敗するでしょう。 次のようなメッセージがコンソールに出力されるでしょう。
sa0(ncr1:4:0): NOT READY asc:4,1 sa0(ncr1:4:0): Logical unit is in process of becoming ready
テープに識別ブロック (Identifier Block:block number 0) がありません。QIC-525 標準を採用したすべての QIC テープドライブは識別ブロックをテープに書き込みます。 2 つの解決方法があります。
mt fsf 1 によりテープドライブはテープに識別ブロックを書き込みます。
フロントパネルのボタンを押してテープを取り出します。
再びテープを挿入し、データをテープに dump します。
dump は “DUMP: End of tape detected” と報告し、 コンソールには “HARDWARE FAILURE info:280 asc:80,96” と表示されるでしょう。
mt rewind を使ってテープを巻戻します。
次からはテープの操作はうまくいくでしょう。
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