3.13. 自分のインストールメディアの準備

注意: 省略のため、以下において “FreeBSD ディスク”というのは、 あなたが購入、もしくは自分で作成した FreeBSD の CDROM または DVD のことを意味することにします。

自分用の FreeBSD インストールメディアやソースを用意しなければならない場合があるかもしれません。 これは磁気テープのような物理的なメディアであったり、 ローカル FTP サイトまたは MS-DOS® パーティションといった sysinstall がファイルを持ってくることのできるリソースの場合もあります。

たとえば、以下のような状況です。

3.13.1. インストール CDROM の作成

FreeBSD プロジェクトは、それぞれのリリースに対して 少なくとも 2 つの CDROM イメージ (“ISO イメージ”) をそれぞれのアーキテクチャごとに用意しています。 CD ライタを持っているのであれば、イメージを CD に書き込む (“焼く”) ことができ、 それを使って FreeBSD をインストールできます。 CD ライタを持っていて、バンド幅を安く利用できるのであれば、 これが FreeBSD をインストールする最も簡単な方法です。

  1. 適切な ISO イメージのダウンロード

    それぞれのリリースの ISO イメージは、 ftp://ftp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD/ISO-IMAGES-arch/version もしくは近くのミラーからダウンロードできます。 ここで、archversion の部分は適切なものに置き換えてください。

    通常、このディレクトリには以下のイメージが置いてあります。

    表 3-4. FreeBSD 7.X および 8.X ISO イメージの名前と内容

    ファイル名 内容
    FreeBSD-version-RELEASE-arch-bootonly.iso CD-ROM ドライブを備えたマシンで起動できるイメージです。 この CD のみを使って FreeBSD をインストールすることはできません。 この CD から起動した後は、(FTP サーバなどから) ネットワーク経由でインストール作業をします。
    FreeBSD-version-RELEASE-arch-dvd1.iso.gz この DVD イメージには、 FreeBSD オペレーティングシステムのベースシステム、 コンパイル済みの package 一式、 ドキュメントをインストールするために必要なものが入っています。 “livefs” ベースのレスキューモードで起動することも可能です。
    FreeBSD-version-RELEASE-arch-memstick.img USB メモリスティックに書き込めるイメージです。 USB ドライブからの起動可能なコンピュータでは、 これをインストールに使うことができます。 “livefs” ベースのレスキューモードで起動することも可能です。 package は、ドキュメントに関連するもののみが入っています。 FreeBSD�7.X 以前ではこのイメージを利用できません。
    FreeBSD-version-RELEASE-arch-disc1.iso この CD イメージには、 FreeBSD オペレーティングシステムのベースシステムとドキュメントインストールするために必要なものが入っています。 その他の package は含まれていません。
    FreeBSD-version-RELEASE-arch-disc2.iso この CD イメージには、ディスクに収まる容量のサードパーティ製 package が含まれています。このイメージは、 FreeBSD�8.X 以降では利用できません。
    FreeBSD-version-RELEASE-arch-disc3.iso ディスクに収まる容量のサードパーティ製 package を含むもう 1 つの CD イメージです。このイメージは、 FreeBSD�8.X 以降では利用できません。
    FreeBSD-version-RELEASE-arch-docs.iso FreeBSD ドキュメント。このイメージは、 FreeBSD�8.X 以降では利用できません。
    FreeBSD-version-RELEASE-arch-livefs.iso “livefs” ベースのレスキューモードで起動できるイメージです。 この CD のみを使ってシステムをインストールすることはできません。

    注意: FreeBSD�7.3 より前の FreeBSD�7.X および FreeBSD�8.0 では、 上記とは異なる名前付けが行われています。 ISO イメージには、FreeBSD- の接頭辞がありません。

    bootonly ISO イメージまたは disc1 イメージのどちらかをダウンロード しなければ なりません。 disc1 には、bootonly ISO イメージに含まれているものはすべて含まれているので、 両方をダウンロードする必要はありません。

    インターネットへのアクセスが安く利用できるのであれば、 bootonly ISO を使ってください。 FreeBSD をインストールし、その後必要であれば、 ports/packages システム (第5章 をご覧ください) を用いてサードパーティ製の package をダウンロードし、インストールできます。

    FreeBSD のリリースをインストールし、 サードパーティ製の package をディスク上から利用したいのであれば、 dvd1 を使ってください。

    その他の追加のディスクイメージも有用ですが、 インターネットへのアクセスが高速の環境では、 必須ではありません。

  2. イメージを CD へ書き込む

    次に、CD イメージをディスクに書き込んでください。 他の FreeBSD システム上で書き込みを行う場合には、 項16.5 (特に、項16.5.3 および 項16.5.4) を読んで、 より詳しい情報を得てください。

    他のプラットフォーム上で書き込みを行う場合には、 そのシステムにインストールされている CD ライタ用のユーティリティを利用してください。 提供されているイメージは標準の ISO フォーマットです。多くの CD ライタ用のアプリケーションがこのフォーマットに対応しています。

注意: カスタマイズした FreeBSD のリリースの構築に興味があるのであれば、 Release Engineering Article をご覧ください。

3.13.2. FreeBSD ディスクを使ったローカル FTP サイトの作成

FreeBSD のディスクは FTP サイトと同じ配置がなされています。 これは FreeBSD をインストールする時において、 ネットワーク上の他のマシンが使うことのできるローカルな FTP サイトを簡単に構築できることをあらわしています。

  1. FTP サイトのホストとなる FreeBD のコンピュータには、 CDROM をドライブに入れ /cdrom にマウントしてください。

    # mount /cdrom
    
  2. anonymous FTP のアカウントを /etc/passwd に作成してください。 /etc/passwd の編集には vipw(8) を使用して次の行を加えてください。

    ftp:*:99:99::0:0:FTP:/cdrom:/nonexistent
    
  3. FTP サービスを請け負うために /etc/inetd.conf で有効にしてください。

あなたのマシンにネットワークで繋がっているどのマシンも、 インストール時にメディアタイプで FTP を選択し、 FTP サイトメニューで “Other” を選んだ後 ftp://your machine と打ち込むことができます。

注意: もし FTP クライアントの起動メディア (通常はフロッピーディスク) の FreeBSD のバージョンが FTP サイトで提供されているバージョンと正確に同じでなければ、 sysinstall でのインストールはうまくいきません。 もしバージョンが異なり、バージョンを書き換えたいのであれば、 Options メニューで distribution name を any に変更してください。

警告この方法はローカルネットワーク上の、 ファイアウォールで保護されたマシンに有用です。 インターネットを介した (ローカルネットワークではない) 他のマシンに FTP サービスを提供することは、 あなたのマシンをクラッカーやその他好ましくない状況にさらします。 この方法を用いるときにはセキュリティの状態に注意することを 強く提言します。

3.13.3. インストールフロッピーの作成

あなたがフロッピーディスクからのインストールをしなければならない場合 (私たちはこの方法をとらないことを提案します)、 その理由はハードウェアがサポートされてなかったためか、 単にいばらの道を通ることを楽しんでいるからでしょうが、 インストール用のフロッピーディスクを用意する必要があります。

最低でも base ディレクトリ内のすべてのファイルをいれられるだけの 1.44�MB のフロッピーディスクが必要です。 これらのフロッピーを MS-DOS で作成している場合は、 フロッピーディスクは MS-DOSFORMAT コマンドで初期化されなくてはなりませんWindows をお使いの場合には、 エクスプローラーを使用してディスクを初期化してください (A: ドライブを右クリックして、 “フォーマット”を選択します)。

工場での初期化済みディスクを信用しないでください。 念のため自分でフォーマットし直してください。 ユーザからのトラブル報告の多くはきちんとフォーマットされていないディスクを使用したことが原因となっています。 フォーマットし直してくださいと述べているのは、 こういった理由からです。

他の FreeBSD マシンでフロッピーディスクを作成している場合、 フォーマットすることは悪いことではありません。 いちいち MS-DOS ファイルシステムのフロッピーディスクを作成する必要はありませんので、 bsdlabel コマンドと newfs コマンドを使って、 次のような手順で (3.5 インチ 1.44�MB ディスク用の) UFS ファイルシステムを作成することもできます:

# fdformat -f 1440 fd0.1440
# bsdlabel -w fd0.1440 floppy3
# newfs -t 2 -u 18 -l 1 -i 65536 /dev/fd0

これで他のファイルシステムと同様に mount して書き込むことができます。

フォーマットされたフロッピーディスクを用意したら、 それらにファイルをコピーしなくてはなりません。 配布ファイルはいくつかのかたまりにわかれていて、 これらかたまり 5 つで一般的な 1.44�MB のフロッピーに収まるようになっています。 フロッピーディスクに入るだけファイルを入れていって、 配布ファイルをすべてコピーしてください。 それぞれの配布ファイルはサブディレクトリにコピーする必要があります。 たとえば、 a:\base\base.aa, a:\base\base.ab のようになります。

重要項目: base セットの最初のフロッピーには、 base.inf ファイルも必要です。 インストールプログラムはこのファイルを読み込み、 配布ファイルを fetch し、連結する際に、 どれだけの数のかたまりに分かれているかを理解します。

インストールメディアの選択場面になったら、 Floppy を選択して、 残りの指定を行ってください。

3.13.4. MS-DOS® パーティションからのインストール

ハードディスクの MS-DOS パーティションからインストールするときには、 配布ファイルを例えば c:\freebsd などとしてそのパーティションのルートディレクトリの freebsd ディレクトリにコピーします。 CDROM や FTP サイトにあるディレクトリ構造を反映してコピーしなければなりません。 そこで CD からコピーする場合には MS-DOSxcopy コマンドの使用をおすすめします。 例えば、最低限の FreeBSD のインストールを行うには、 次のように準備します:

C:\> md c:\freebsd
C:\> xcopy e:\bin c:\freebsd\bin\ /s
C:\> xcopy e:\manpages c:\freebsd\manpages\ /s

ここで C: ドライブには十分な空き容量があり、 CDROM は E: ドライブに接続されているものとします。

CDROM ドライブを持っていない場合には、 ftp.FreeBSD.org から配布ファイルをダウンロードすることができます。 それぞれの配布ファイルは独自のディレクトリに入っています。 例えば、base 配布ファイルは 9.1/base/ ディレクトリにあります。

MS-DOS パーティションからたくさんの配布ファイルをインストールしたい (そしてディスクの容量がある) 場合、 それぞれ c:\freebsd ディレクトリ以下にインストールします。 — BIN 配布ファイルは、最低限必要なものです。

3.13.5. インストールテープの作成

テープからのインストールはおそらく FTP を利用したオンラインインストールか CDROM インストールを除けばもっとも簡単な方法でしょう。 インストールプログラムはファイルが単純に tar されていることを期待します。 必要な配布ファイルをすべて用意したら、 それらをテープ上に単純に tar します。

# cd /freebsd/distdir
# tar cvf /dev/rwt0 dist1 ... dist2

インストールを行う際、 一時使用ディレクトリに十分な空きスペースを確保して、 作成したテープのすべてのファイルを格納できることを確認してください (一時使用ディレクトリは自分で選ぶことができます)。 テープの特性上、ランダムアクセスすることができませんので、 一時的にきわめて大量の容量を必要とします。

注意: インストールを始める時には、 起動フロッピーから立ち上げる前にテープをドライブにいれておかなくてはなりません。 さもないとインストール時のデバイス検出時にドライブを見つけられません。

3.13.6. ネットワーク経由のインストールの前に

3 種類のネットワークインストールを行うことができます。 イーサネット (標準的なイーサネットコントローラ)、 シリアルポート (PPP)、または、 パラレルポート (PLIP (laplink ケーブル使用)) を使用することができます。

ネットワークインストールのうちもっとも高速なものとして、 イーサネットアダプタがいつもよい選択となります。 FreeBSD はきわめて多くの PC イーサネットカードをサポートしています。 サポートされているカードの一覧 (と、必要な設定) は FreeBSD それぞれのリリースのハードウェアノートで提供されます。 サポートされている PCMCIA イーサネットカードを使う場合、 ラップトップの電源を入れる前に差し込んでおくことにも注意してください。 残念ながら、今の FreeBSD はインストール時の PCMCIA カードの活線挿抜には対応していません。

ネットワークでの IP アドレス、 アドレスクラスに対応したネットマスク、 マシン名を知っておくことも必要です。 PPP 接続を利用したインストールを行いたいが、 固定 IP アドレスを持っていないという場合は、 ISP が自動的に IP アドレスを割り当てます。 ネットワーク管理者に尋ねればどんな値を使ったらよいか教えてくれるでしょう。 もし他のホストを IP アドレスではなく名前で引きたい場合、 ネームサーバと、それを使うためのゲートウェイのアドレス (PPP をご使用の場合は、プロバイダの IP アドレスになります) も知らなくてはなりません。 HTTP プロキシ経由で FTP インストールを行いたい場合には、 プロキシサーバのアドレスも必要となります。 これらのうちすべて、またはいくつかを知らない場合には、 イーサネット経由でのインストールを始める前に、 ネットワーク管理者か ISP に相談するべきでしょう。

もしモデムを使用しているなら、 残された選択肢はほぼ間違いなく PPP でしょう。 早く正しくインストールするのに必要となりますので、 サービスプロバイダに関する情報を用意しておきましょう。

もし ISP に接続するのに PAP や CHAP を用いるなら (言い換えると、もし Windows で ISP に接続する時にスクリプトを使用していないのであれば)、 dialppp のプロンプトに対して入力するだけでいいです。 それ以外の場合、モデム固有の “AT コマンド”を使って ISP にダイヤルする方法を知っておく必要があります。 これで PPP ダイヤラはとてもシンプルな端末エミュレータのみを提供します。 これ以上の情報については ハンドブックFAQ のユーザー PPP エントリーを参照してください。 問題が起きた場合には set log local ... コマンドを用いてログを画面に吐くこともできます。

FreeBSD の動いている別のマシンと直接接続が可能でしたら、 “laplink” パラレルポートケーブルを介してインストールすることもまた考えてみましょう。 パラレルポート経由のデータ転送スピードは、 シリアルラインでの一般的なスピード (最高 50�kbytes/sec) よりもずっと高速なので、より早くインストールすることができます。

3.13.6.1. NFS 経由のインストールの前に

NFS インストールはまったく単純明快です。 FreeBSD の配布ファイルを NFS サーバの好きな場所にコピーしておいて、 メディア選択で NFS を選択します。

もしサーバが“特権ポート”へのアクセスのみをサポートしている場合、 (Sun ワークステーションの標準はこうなっています) インストールを進める前に Options メニューで NFS Secure を選択してください。

イーサネットカードの性能が悪く、 転送速度が遅くて困っている場合には、 NFS Slow フラグを選択するといいでしょう。

NFS 経由でインストールするためには、 サブディレクトリも含んだマウントにサーバが対応している必要があります。 例えば FreeBSD�9.1 の配布ファイルが ziggy:/usr/archive/stuff/FreeBSD にあるとすると、マシン ziggy では /usr/usr/archive/stuff だけでなく /usr/archive/stuff/FreeBSD の直接マウントが可能になっていなければなりません。

FreeBSD の /etc/exports ファイルでは、このことは -alldirs オプションによって制御されています。 他の NFS サーバの場合だとまた話が違ってくるかもしれません。 もしサーバから “permission denied” が返ってくるようでしたら、 サブディレクトリマウントをちゃんと有効にできていないことが考えられます。

本文書、および他の文書は ftp://ftp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD/doc/ からダウンロードできます。

FreeBSD に関する質問がある場合には、ドキュメント を読んだ上で <[email protected]> まで (英語で) 連絡してください。
本文書に関する質問については、<[email protected]> まで電子メールを (英語で) 送ってください。